スタジオツアーが行われました。
日時:2015年2月28日(土)14:00~19:30
場所:マイクロサウンド(東京都国分寺市)
参加人数:10名


■スタジオツアー

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須藤さんが経営されている録音スタジオ「マイクロサウンド」にて行うイベントを「スタジオツアー」と称しています。今回は「Macで音楽祭り2014」のセミナーでご紹介した合宿曲(メコン川のように)のミキシング作業を行う事となりました。

2014年の年末にも合宿曲のミキシングをこのスタジオで作業したのですが、そのバージョンをより趣旨に沿ったものにミキシングしなおしました。



■本題に入る前に

早速と行きたい所ですが、その前にちょっとしたユーティリティーの紹介です。
[ControlAir]というソフトです。

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MacBook Proなどの内蔵カメラを使って、iTunesの再生や曲送りの指令を出す事が出来ます。カメラで自分の指を認識させ動かす事により、キーボードの操作無しで行えるという物です。
コツをつかむまでがちょっと難しいのですが、こういった発想で動かせるというのが新鮮ですね。Youtubeに紹介がありますのでリンクします。



リチウムイオンバッテリー「Power-Pond Connect」

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伊藤さん(写真右)がお持ちしたモバイルバッテリーはACプラグをそのまま挿す事が出来る、40,800mAhと大容量のものとなっています。スタジオに来る前に秋葉原に寄り買ってきたそうです。

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ACプラグなので、普通の家電にも使えます。防災用に購入されたとの事です。
普通のモバイルバッテリーでは、ノートパソコンへ繋げるには変換プラグなどが必要で煩雑でした。これなら不シンプルにACアダプターから直結出来ますね。

本体は2つに分ける事が出来、片方にはUSB端子があるので必要に応じて使い分けます。また、こうする事でコンパクトに持ち運び出来るそうです。



■ミキシング

本題のミキシングへと移ります。

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DAWは[MOTU Digital Performer 8]を使用します。
と、作業前にまずは別名保存!ムービーも開いて同期しておき、映像も楽しみながら編集しました。

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すべてのトラックでフェーダー位置をなるべく0の場所にしておきます。当然音量が違うトラックもありますが、トリムプラグインやリミッターなどで増やし揃えておきます。

こうする事で、オートメーションなどを書き込む際の上下幅も確保出来ます。また、0の位置に近い方が音の演算処理により最適となります。

次に、ソロボーカル(Tさん)の調整をします。テイクの複製から作業します。
リージョンから無音部分をカットして細かく分けますが、前後にフェード掛け滑らかにします。 

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[Auto-Tune]プラグインによりピッチ補正を自動で全体的に掛けます。

ボーカルは若干沈み込んで聴こえました。そこで、基準音を440Hzから441Hzへ微妙に上げました。こうする事で、曲中より浮き上がらせる事が出来るようになります。

このような応用の例として、クラシック音楽でも音量の小さい楽器は、コンサートピッチより少しだけ上げる事があるそうです。他にもボーカル録音の際にもガイドメロの音を上げておくと、フラット気味に歌う癖のある方でも直ってしまう事があるそうです。

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ピッチ補正に戻ります。
DP8では標準でPitch Collectionという部分部分を細かくピッチ補正する機能が備わっています。こちらは主に手動での作業になります。その人のキャラクターを残しつつ、細かく調整する事が出来ます。

次のボーカリスト(Sさん)は歌唱力があるのですが、少々溜めが多く感じられました。演歌で言う所のコブシが回っているような感じです。また、音も近い感じがし、ピッチが高めに感じました。

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リージョンを切り分けて、拍位置にあうように調整をして溜めを軽減します。
ストレッチを掛けて、波形自体の長さを少し短くします。こちらも溜めを軽減します。

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音が近いということなので、モノラルリバーブを掛けて楽曲に馴染ませます。種類としては部屋で歌っているので、それに近い感じのを選択します。他にマイクの吹かれで低域の雑音がありましたので、イコライザーでカットしました。

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曲終わり部分のボーカリスト(Nさん)は、曲調から背景のコーラスに組み込んだ方が良いと判断しました。
そこで、ステレオリバーブ[Waves Trueverb]を掛けて馴染ませました。さらにここでは、[Waves S1]で広がりすぎないようにしています。

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他にも音量差が激しいので、[Waves Vocal Rider]で、フェーダーを自動で操作する事で、一定の音量に保つ事が出来ます。曲中の大小部分に合わせて、小さい時は小さくと自動調整も出来ます。

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今回はプラグイン内の自動調整ですが、この情報をボリュームデータとしてオートメーションに書き出す事も出来ます。

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ドラムには[Melda Production MDrumLeveller] を掛けました。これは、ドラムの各音に対して、一個一個アクセントの音量を強くしてくれます。プラグイン内に解析しながら表示されています。試しに極端に上げてみますと元気よく叩いているように聴こえます。

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曲半ばのボーカル(Kさん)も若干コーラスとのずれが有りましたのでコーラスの方のタイミングと合わせます。

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中心のメロディーは複数人のコーラスとなっています。写真は合宿当時のもので、左右にマイクを立てて録音しました。

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楽曲でもそのまま左右に目一杯振った状態だったのですが、そのままですと広がりすぎて楽器よりも後ろになってしまっていました。

そこで左右の幅を狭めて歌がより中心に来るように調整しました。ハモり部分も別録音がありましたので、そちらは広げたままにすることでバランスをとりました。他にメインとハモり音量の調整を行い、メインがしっかり聴こえるように調整しました。(この過程でドラムにリバーブを追加しています)


 
■休憩

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ここまでで一旦休憩をとりました。
曲とは離れてLogic Pro Xが最近10.1にアップデートされ機能強化されました。
オンラインDTMスクールのSleepfreaksに丁寧な動画での解説がありましたので、それに加えてコンプレッサーの新旧比較などをしてみました。

[Logic 10.1 新機能 1]
[Logic 10.1 新機能 2]

その他Logicに関する質問などありました。



■作業復帰

メロディ関連が大まかに作業を終えましたので、次に楽器のバランス調整に移りました。

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音像中心にある、コード担当のアコースティックギターとベースのバランス調整を行いました。まずベース自体の音量が無かったので、大きくすると同時に[BBE MACH3 Bass]というプラグインにより、より豊かな低音を付加する事が出来ます。

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ここで少しだけサブコーラス(ウーやアーなど)のタイミング調整、ピッチ補正を行いました。

左右の飾りで弾いているギター2本のバランスを同じようになるように調整しました。曲中心とのピアノとのバランスも考慮して、ピアノの音像を狭めることとしました。

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ピアノの幅を狭める過程で、位相が反転していることが分かりました。音源として意図してそうなっているのですが、音量を変化させずに幅を狭める事を優先しました。トリムプラグインのインバートを片方ONにする事で、位相を正常に修正しました。

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オルガンに対しては、意外なプラグインですがディエッサーを掛け高音部分の雑味を取りました。また、リバーブも掛けることで、合わせて楽曲に馴染ませています。

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トータル(全体の)リバーブとしてTC Electronic Mega Reverb(販売終了)を掛け、全体を通して聴いてみて問題無いことを確認して完成となりました。

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おまけとして、ノグチによる別アレンジバージョンや、仮オケに他の方が歌ったバージョン、長峰さんの英語バージョンなどを聴いて楽しみました。



4月の定例会は4月4日(土)15時〜18時です。場所は喫茶室ルノアール 新宿小滝橋通り店 第1会議室で開催予定となっております。

随時見学を承っていますので、お気軽にご参加ください。ご希望の方はご連絡を頂いてからとなっておりますので、お手数ですが以下のメールアドレス宛にお名前と参加予定日をお知らせください。
見学について