
『Macで音楽祭り2014』が開催されました。ここではその模様をお伝えします。

「Macで音楽祭り2014」はMacやiPhoneなどでの音楽制作や、音楽・音響周辺機器メーカーによる最新製品などを紹介するイベントです[入場無料]。日時は2014年12月7日(日)11時~16時、場所は関東ITソフトウェア健保会館会議室(大久保)にて開催。
主催 Macで音楽クラブ、共催 Japan Logic User Group、出展社 IK Multimedia、ディリゲント、フロンティアファクトリー、メディア・インテグレーション。
■セミナープログラム6:Japan Logic User Group
『Logic歴20年のベテランLogicerがお届けする、Logic Pro Xの基礎知識!!』

以前はAppleStore銀座で1ヶ月〜2ヶ月おきにセミナーをやっていたのですが、Appleの方針が代わり出来なくなりました。Logic Pro X発売の時だけは特別に出来たので、Xとしてのセミナーは2回目となります。

発売されてから一年以上経ち、二人ともXを使用(併用)されています。
古くからのユーザーとして一番Xに行きたくないのは、メニュー項目の位置がまったく変わってしまった事があげられます。しかし、Cubaseなど他のDAWから移ってみたい方にとって、Logicは難しかったのがとりあえず触れるようになったのも事実ですね。19,800円と安いので持っていない方はチャレンジしてはどうでしょうか。

1)まず基本的な所として、ソフトウェア音源の項目を見てみます。トラック追加のダイアログに「ライブラリを開く」がチェックされた状態で出てきます(デフォルトの状態)。このままですとオーディオフェーダーにプリセットが全部セットになった状態で立ち上がります。ソフトシンセも同様です。
個人的にはお勧めできない機能なので、チェックを外して素の状態のトラックから作りましょう。

2)マルチティンバーの音源のVintage B3 Organを立ち上げます。Upperが1チャンネル、Lowerが2チャンネル、Pedalは3チャンネルに割り振られます。

Logicで普段MIDIトラックを作ると、「すべて」のチャンネル出力になります。Logicはマルチティンバー音源が標準でこのVintage B3 Organのみですので、チャンネルの概念を気にせず作る事が出来ます。

このトラック作成の際に、メニューバー「トラック」→「その他」に、「①設定の複製を作った新規トラック」「②次の音源を使った新規トラック」「③同じ音源を使った新規トラック」とあります。
これが分かりにくいのですが、①ではインスト1のトラックを沢山作れフレーズを複数作る際に便利です。②の機能がこのマルチティンバーのMIDIトラックを作る際に有用となっています。
このように、他のシーケンスに無い独自の便利な機能となっています。

3)LogicのサンプラーEXS24のマルチアウト出力をご紹介します。モノラル、ステレオの他にマルチ出力する事が出来ます。(他に標準で実現するのはDrum Kit Designer)

AudioUnits音源でしたらSampleTankでも可能ですが、ミキサー画面よりトラックした「+」ボタンでマルチ出力のトラックを簡単に連続で作る事が出来ます。

EXS24は音色が1つしか作れないのになぜあるかというと、ドラム スネアに個別のEQコンプを掛けたい方がいると思います。思い切ってドラム音色を選んでEDITボタンを押してみて下さい。
Cymbals、HiHat、Snares、Claps、Kickとグループ分けされてもいますので、纏めて出力を切り替える事が出来ます。このページは難しいですが、これが使えるようになるとEXSの自由度が高まります。(設定を保存する事でパッチリストで切り替えができます)

4)オーケストラ音色内での奏法切り替え技をご紹介します。EXS24のパッチOrchestral→Strings内にあるViolins +などの音色を選びます。ポイントは名前に「+」が付いているものを選ぶ事です。

フレーズを入力してリストエディターを開きます。そうするとアーティキュレーションIDを表示させる事ができます(無い場合はミニメニューの表示より選択)。0がデフォルトで3にするとピチカート、他にトレモロ、半音トレモロなどに奏法を切り替える事が出来ます。

外売りのKontaktだとキースイッチでで出来るような機能が、Logicでは標準に含まれています。キースイッチでの問題は譜面で出力する際に変な音符が下の方に表示されてしまうので、同じストリングスに対してトラックを複数分ける必要があるのが問題でした。
この方法では譜面上に変化をさせずに、アーティキュレーションIDの切り替えで奏法の変化を加える事が出来るのがメリットですね。これはLogic Pro Xからの新機能です。奏法については先ほどのEDIT画面より名前が見られるようになっています。

5)Smart Controlを使っての技です。Logic Pro Xから付いた機能ですが、中にはリバーブやソフトシンセのパラメーターを簡単に調整出来ます。別売のMainStageにも繋がっていく機能ですね。
これを打ち込みで活用しようと思います。つまみを反転した状態で登録ボタンを赤表示にさせ、外部MIDIコントローラーのつまみなどを動かす事で登録できます。

録音の手違いがありMIDIコントローラーでうまく登録出来ませんでしたが、この方法で使う事が出来ます。ポイントはフェーダーにあるオートメーションボタンを「Touch」にしておく事が重要となります。

6)ステップ入力の際、Logic Pro 9までのCapsLockでのキーボードMIDI入力が無くなり、Logic Pro Xではミュージックタイピングに置き換わりました。Macのキーボードで入力する事ができ、ベロシティも変化させる事が出来ます。

似たような物にステップ・インプット・キーボード表示というのがあり、よく間違えてしまいます。こちらは録音時にステップ入力を行うためのコントローラーです。
やり方は表示させた後に、ピアノロール画面左にMIDI INボタンを赤く点灯させる事で使えます。偶然をねらった効果や、アルペジオ的なフレーズを打ち込むのにも便利ですね。

7)Drummerの紹介です。Drummerは自動的にドラムフレーズを作ってくれる機能です。4小節単位で頭にシンバルが入りますので、切り貼りでフィル始まりの4小節に組み替えてみます。
このように、非常に革新的なツールです。リージョン単位でX/Yパッドにより派手にしたり、右の調整スライドバーよりリズムを跳ねさせたりする事などが可能です。

画面右下の詳細から、ゴーストノートの大小を決められます。フィーリングのプルとプッシュでリズムが前乗り後乗りかを調整出来ます。

さらにこのフレーズを叩く人を変える事でスタイルを変更する事が出来ます。

AppleLoopsより、ベースの録音されたオーディオパターンを入れてみます。これは生で録音したものでも良いです。このDrummerには優れた機能があり「従う」にチェックを入れベースのトラックを選択します。
こうする事で、自動的にドラムフレーズのタイミングをベースに合わせてくれます。ベース以外にも、例えばちょっと跳ねたギターを弾いてしまった時でも、この機能が有効的です。

グローバルトラックを表示させます。Logic Pro Xで良くない部分としては、表示が最初からされていないパラメーターが多すぎます。グローバルトラックを表示させた後に右クリックでトランスポーズを表示させます。

今キーはCになっていますので途中3度上げをしてみます。こうする事で上げた所だけキーが変わります。この技はGarageBandでも出来ます。

これらをコピーしながら纏めていくのも一つの手ですが、もう少し良いビートを足したい方のための技です。
ここではAppleLoopsからドラムループを3トラック分用意します。そしてこの3つを選んで、右クリックで「フォルダ」→「テイクフォルダをパックをする」を選択します。

こうする事で、ひとまとめになったリズムトラックが出来上がりました。このリージョンの三角マークより元のドラムループが表示されるようになります。自由な場所でループを切り替える事が可能になります。これがAppleLoopsを使ったコンピングという技になります。

なお、DrummerのフレーズでBFD3の音で使いたい場合は、BFDの方でLogic Drummerのマッピングが用意されていますので簡単に差し替える事が出来ます。また、別トラックを作りそこにリージョンを持っていく事で、簡単にMIDIトラックに変換する事が出来ますので、中身からMIDIタイミングを抽出したりする事が出来ます。
このように、Drummerは画期的ですが1ソングで1つしか作れないのは残念です。

その他の点として、Logic Pro Xになり[FlexTime]の進歩もお勧めしたい部分です。テンポフリーで弾いたギターフレーズを簡単に合わせる事が出来ます。リタルダンドした部分なども合わせるのが簡単になりました。
Logic Pro Xを触ってこれは便利だなというのを紹介しました。来ていただいた方に1つでもヒントになればと思います。
ありがとうございました。
■Macで音楽祭り2014記事一覧
・Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)1:フロンティアファクトリー
・Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)2:IK Multimedia
・Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)3:メディア・インテグレーション
・Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)4:SoundCanvas for iOS(ローランド株式会社 協力)
・Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)5:Macで音楽クラブ
・Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)6:Japan Logic User Group
・Macで音楽祭り2014イベントレポート(展示ブース)
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