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Macで音楽祭り2014』が開催されました。ここではその模様をお伝えします。



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Macで音楽祭り2014」はMacやiPhoneなどでの音楽制作や、音楽・音響周辺機器メーカーによる最新製品などを紹介するイベントです[入場無料]。日時は2014年12月7日(日)11時~16時、場所は関東ITソフトウェア健保会館会議室(大久保)にて開催。
主催 Macで音楽クラブ、共催 Japan Logic User Group、出展社 IK Multimedia、ディリゲント、フロンティアファクトリー、メディア・インテグレーション。



■セミナープログラム5:Macで音楽クラブ

『福島での音楽合宿からミキシング作業、そして応援ソング完成まで〜』

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芝)「Macで音楽クラブ」は、その名の通りにMacが好きで音楽が好きな仲間の集まりです。
音楽制作は一人で行っていても分からない所などあると思います。そんな時に情報をネットで探すのですが、いっぱい有るようでいて、案外無かったりする事もあると思います。

毎月顔を合わせて定例会を行っていますと、こんな使い方があったんだと結構すぐに解決する事が多いです。クラブは1998年ごろより続いています。

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今回は音楽合宿というのを行いました。
こちらにいるオヤマさん(写真中央)が初代会長で、ご病気から奇跡的な快復をされたのですが、僕らで応援の歌を作ろうという事になりました。その目的に加えて自分たちも楽しめる内容にしました。

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あらせ)作詞作曲を担当しましたあらせです。作詞にあたっては、オヤマさんの応援歌として、さらに毎月の感謝の気持ちと今後の発展を込めて作りました。

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歌詞についてオヤマさんらしいキーワードを探していたのですが、数年前にアイディア出しの際にオヤマさんが提案された、“メコン川”というのにインパクトがありました。そこで、これを歌詞のコンセプトにして作りました。歌詞中のワニにやナマズは我々に例えられています。

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曲づくりは歩きながらメロディーなどのアイディアが浮かぶのですが、それをiPad版のGarageBandでリズムトラックを作り、そこにギターや歌を重ねました。合宿で皆が歌うというのが決まっていましたので、ゴスペルコーラス風に出来たらいいなと思って作りました。

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ノグチ)アレンジ担当のノグチです。先ほどのGarageBandで作ったファイルを、Macの[Logic Pro X]に移してアレンジをしていく事にしました。

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ボーカルをそのままにし(ガイドとして残しています)、他の楽器類は消して新たに作り直しました。楽器類はこの後に合宿で芝さんのMacBook Proで作業するため、ほとんどLogic標準の音源で作っています。

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芝)補足ですがあらせさんのメロディーを基に、芝さんが[Band-in-a-Box]での仮アレンジを組み、それにノグチによるアレンジを加えてオケの全体を組んだという形になります。

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合宿のときにはどういった機材を使ったかと言いますと、[Universal Audio Apollo Quad]でマイクを4本 全員の時は2本ダイナミックマイクで、ソロで歌う所はコンデンサマイクで、ギターの時は[Shure SM57]とコンデンサマイクで録音しました。

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DAWはLogic Pro Xを使いました。録音されたトラックは全部で65トラックほどになりましたが、エフェクトなどは後ほど紹介する須藤さんの方で行いますので、素の状態ではCPUなど全く振れずに軽い動作でした。今のMacならどのような機種でも可能であろうというのが現状だと思います。

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須藤さんは[Digital Performer 8]での作業になりますので、AAFファイルフォーマットで書き出し橋渡しを行いました。(写真はK2さん。オーディオの位置はそのままでトラック別に書き出せます)

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準備が整うまで合宿の話題が続きます。
芝)合宿中にドラム音源をLogic純正から[BFD3]の音源に置き換えたのですが、キーマップがLogic標準なものに対応しており、簡単にドラム楽器類をそのまま置き換える事が出来ます。すごく存在感があるので、他がしっかりしていないと逆に浮いてしまうほどです。

BFDは58GBほどのサンプルがあるため、MacBook Proの内蔵SSDを960GBに交換しました。音色の切り替えが速く会員から驚かれていたのが印象的でした。

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須藤)合宿には仕事の関係のため参加出来ませんでした。ですので、その時に作った音を出来るだけそのままにしたミキシングを会場の方と一緒に聴いてみました。これは録音しただけでほぼ音量調整していないものです。

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まず、DigitalPerformerでトラック分けをしました。
メインボーカルやコーラスがあるので、パートごとに調整しやすいようにバス分けをしました。これで一つのフェーダーでメインボーカルやコーラスを調整出来るようにしました。音質の調整も楽になります。

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最初にメインボーカルの部分調整で頭とお尻を揃えます。人がそれぞれ歌っているので当然頭とお尻の部分が揃っていませんので、カーブを書いて揃えます。

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次にメインボーカルの歌始め部分をボリュームを書きます。アクセントが弱いので歌がきちんと聞こえるようにします。
メインボーカルのピッチ修正はMelodyne的なものもあるのですが、[Auto-Tune]で今日は直してしまいます。人が沢山いる際はピッチを揃えた方が綺麗になります。

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メインボーカルやコーラスきちんと聞こえるようにするトータルリミッターとして[iZotope Ozone 6]を使っています。

色々なパラメーターは決めうちでなく、曲に合わせて調整します。いわば髪型のようにトータルの音を切りそろえて綺麗な見栄えにします。
このプラグインは他にディザーやDCオフセットも掛けることができる複合エフェクターです。イコライザーではなくマルチバンドコンプレッサーを使用しています。4バンドある内の上から2バンドを持ち上げ不要な部分を所を抑えています。

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イコライザーだと小さい音でも大きい音でも同じ働きをしてしまいます。マルチバンドコンプレッサーなら、音量に応じて調整幅を変えてくれます。
人間の耳は音量によって聴こえ方が違うので、こちらの方がそれに沿った調整をしてくれます。

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K2)こういった調整方法はWebなどではなかなか紹介していないものですね。
芝)定例会などで実際聴いて目の当たりに見ると、分かりやすいですね。

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一個だけ隠し技をご紹介します。
こちらに録音に失敗したものがあります。頑張って歌った素材がありますが、声を張った所で歪みが出来てしまっています。波形は通常ですと線対称になるはずなのですが、潰れてしまった結果歪な形になっています。

どうしてこうなってしまったというと、マイクの振動板が限界まで動いてしまい音に出来なかった場合、このような録音がなされます。音量として大きくなくても、こういった現象になる場合があります。

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これを[iZotope RX4]よりDecliperというプラグインを使い復元します。

ぼくらの「ぼ」の部分がひずんでいます。スレッショルド値を見ますと、飛び出している部分がひずみ始めている事が分かります。

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この値を調整して飛び出ている部分をカットします。すると、波形の方に変化が現れニョキっと波形が膨み変化しています。これで、前後関係から失われた有ろう部分が復元されました。
もちろんプラグインに頼らずに録音し直すのが一番の方法なのですが、どうしてもという際にこういった技もあります。

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最後に小林監督による、曲と合宿の模様をまとめたビデオを制作しましたので紹介しました。
ありがとうございました。



■Macで音楽祭り2014記事一覧

Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)1:フロンティアファクトリー
Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)2:IK Multimedia
Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)3:メディア・インテグレーション
Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)4:SoundCanvas for iOS(ローランド株式会社 協力)
Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)5:Macで音楽クラブ
Macで音楽祭り2014イベントレポート(プログラム)6:Japan Logic User Group
Macで音楽祭り2014イベントレポート(展示ブース)